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出走馬情報

アルゼンチン共和国杯は、中長距離路線で頂点を目指す馬たちにとって飛躍の起点となるケースが多い。2008年の優勝馬スクリーンヒーローは、次走ジャパンカップでの優勝に結び付けており、昨年5着のオーシャンブルーは、次走の金鯱賞で重賞初制覇を飾った勢いに乗って有馬記念で2着に好走した。近年、ますます重要性を増してきたこのレースは、JRA重賞の中では数少ないGII のハンデキャップ競走。今年はどの馬がここをステップに飛躍を告げるのか? 紅葉の始まった東京ターフの熱戦に注目が集まる。

メイショウナルト(せん5・武田博)は、前々走の小倉記念を1分57秒1のコースレコードで優勝、見事に重賞初制覇を飾った。さらに、前走の産経賞オールカマーでは、勝ち馬のヴェルデグリーンからクビ差の2着と接戦を演じている。心身両面で成長を遂げ、完全に本格化した印象だ。2歳秋にデイリー杯2歳Sで3着に好走した素質馬だが、その後は長期休養期間を経て、今年5月にせん馬として戦列復帰してから6戦3勝2着2回の好成績をマーク、大変身を遂げた。東京コースは初登場になるが、同じ左回りの中京コース(3走前の1600万下・関ケ原S、芝2000m、2着)でスムーズな競馬を見せていることから、問題はないはず。ここで2度目の重賞制覇を成し遂げて、さらなる飛躍を狙う。

ルルーシュ(牡5・藤沢和雄)は、昨年のアルゼンチン共和国杯で2分29秒9の好タイムをマークし、重賞初制覇を達成。最後の直線で早目に先頭に立って、ラスト2ハロンを11秒2、11秒8でまとめる隙のない内容だった。また、今春の目黒記念では直線の坂で一旦先頭を奪い、勝ち馬のムスカテールに交わされたものの、2着を確保。内容の濃いレースで地力強化をアピールした。前走の札幌記念(函館・芝2000mで開催)は重馬場で本来の力を発揮できずに15着と大敗したが、美浦トレーニング・センターに帰厩後は入念な乗り込みを消化しており、状態面に大きな不安はない。過去6戦して4勝2着2回とパーフェクト連対を誇る東京・芝コースでアルゼンチン共和国杯連覇を目指す。

ムスカテール(牡5・友道康夫)は、今春の目黒記念を2分29秒6のコースレコードで優勝。初の重賞タイトルを獲得して本格化を遂げている。前走の産経賞オールカマーは、約4か月の休養明けに加えて実績のない芝の右回りコースで9着に敗退したが、今回は条件が好転。ひと叩きされて状態は確実に上向いてきたうえに、舞台となる東京・芝2500mでは前述の目黒記念制覇に加えて、昨年のアルゼンチン共和国杯で勝ち馬のルルーシュから0秒2差の2着に好走している。ここで2度目の重賞制覇を飾れば、秋の目標としているジャパンカップでも大きく浮上してきそう。

アドマイヤラクティ(牡5・梅田智之)は、昨年暮れの金鯱賞で3着に好走、今年の初戦となったアメリカジョッキークラブCでも3着に入ったあと、次走のダイヤモンドSでGI ホースのジャガーメイル(2着)を完封し、重賞初制覇を達成したのは記憶に新しい。さらには、GI の天皇賞(春)でも力強い末脚を発揮して4着と掲示板を確保。昨年に皐月賞・菊花賞・有馬記念を制したゴールドシップ(5着)にクビ差先着を果たし、ステイヤーとしてトップクラスにランクされる実力の持ち主であることを示した。今秋の始動戦となった前走の京都大賞典は、約4か月半の休み明けでひと息伸び脚を欠いて4着に敗れたが、勝ち馬から0秒3差と大きくは負けていない。ひと叩きされて体調の上積みが見込める今回、ダイヤモンドSを制した東京・芝コースで2度目の重賞Vを狙う。

アスカクリチャン(牡6・須貝尚介)は、昨年の七夕賞の優勝馬。2走後の新潟記念でも3着に好走と『サマー2000シリーズ』での活躍が目立ったが、6歳の今年も函館記念3着、札幌記念2着と『サマー2000シリーズ』で上位争いを演じ、能力に衰えがないところを証明している。秋初戦の産経賞オールカマーでは、勝ち馬のヴェルデグリーンから0秒1差の5着に健闘。2番人気の支持を受けた前走のオープン特別・アイルランドT(東京・芝2000m、4着)は、勝負どころでの反応がひと息だったが、59キロの斤量が影響した印象だ。優勝馬レインスティックと2着馬サトノギャラントが56キロ、3着馬ピュアブリーゼが53キロだったことを考えれば、0秒2差の4着なら内容は悪くない。500mの距離延長に加えて、斤量も56キロと前走から3キロ軽くなる今回は、首位争いに加わってきそうだ。

エックスマーク(牡4・角居勝彦)は、ここまで15戦を消化して〔5・4・3・3〕の好成績をマーク。連対率は6割、3着内率では8割を記録している素質馬だ。今夏に1000万下の阿賀野川特別(新潟・芝2200m)を優勝したあと、昇級初戦の1600万下・レインボーS(中山・2000m)も力強い末脚でV。2連勝でオープンクラス入りを果たしている。デビュー当初から期待を寄せられていたディープインパクト産駒で、本格化を遂げるまでにやや時間は要したが、4歳の夏にいよいよ素質開花を迎えた。離して勝つ派手さはないが、相手なりに走れる安定感は魅力一杯。一気にV3での重賞初挑戦・初制覇を目指す。

ホッコーブレーヴ(牡5・松永康利)は、前走の1600万下・オクトーバーS(東京・芝2400m)を制し、待望のオープンクラス入りを果たした上がり馬である。後方でじっくり末脚を温存し、直線で大外に持ち出すと、素晴らしい伸び脚を披露して一気の差し切り勝ち。上がり3ハロン33秒9(推定)はメンバー中最速タイムで、その切れ味は重賞でも十分に通用するだろう。通算5勝を挙げているが、右回りコースの1勝に対して、左回りコースでは4勝をマーク。東京・芝2500mはこの馬にとってぴったりの条件と言える。今回は重賞初挑戦で相手は大幅に強化されるが、目下の勢いと高いコース適性を活かせば、重賞のタイトル獲得も夢ではない。

デスペラード(牡5・安達昭夫)は、ダートで4勝を挙げる活躍を見せたあと、昨年11月から芝の長距離路線に転向。暮れのステイヤーズSで勝ち馬のトウカイトリックから0秒2差の3着に入り、長距離への高い適性をアピールしている。5歳の今年は、オープン特別の万葉S(京都・芝3000m)優勝後、阪神大賞典に出走。最後の直線で大外を力強く伸びて、勝ち馬のゴールドシップから0秒3差の2着に入り、重賞で初の連対を果たした。約4か月半の休み明けで臨んだ前走の京都大賞典は伸び脚を欠いて10着に大敗したが、休養明けは苦手とするタイプで、さらに大幅な馬体重の減少(-16キロ)も影響した印象。実戦を叩かれて状態面の上積みが見込める今回は、長い直線を活かした豪快な追い込みが期待される。

ニューダイナスティ(牡4・石坂正)は、1番人気の支持を受けた前々走の新潟記念でスタート直後につまずくアクシデントがあったものの、2番手追走の積極的な競馬で0秒6差の5着と掲示板を確保。スムーズな競馬なら、もっと際どい競馬に持ち込めていたはず。4番人気に支持された前走の京都大賞典では11着に大敗したが、この一戦だけで見限れない能力を備えている馬だ。3走前の1600万下・関ケ原Sでは、メイショウナルト(次走の小倉記念優勝)を半馬身差の2着に退けており、重賞制覇も時間の問題と思われる。4戦2勝と勝率5割ジャストを誇る左回りコースに替わる今回は、前走から一変した走りが見られるかもしれない。

トウカイトリック(牡11・野中賢二)は、2007年ダイヤモンドS、2010年阪神大賞典、2012年ステイヤーズSと、長距離重賞3勝の実績を誇る古豪。今回は約6か月ぶりの実戦になるが、栗東坂路で入念な乗り込みを消化しており、出走態勢は整っている。極端に時計の速い決着になると不安も生じるが、まだスタミナ面では若い馬たちにも見劣りはしないはず。経験・スタミナともに豊富なベテランホースの走りに注目したい。
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出走馬情報

みやこSは今年で4回目と歴史の浅い重賞だが、上位に入った馬の中からすでにジャパンカップダートの勝ち馬を2頭も輩出。2010年の優勝馬トランセンドは本番も優勝、2011年の4着馬ワンダーアキュートは本番で2着、2012年のニホンピロアワーズは2着から本番で優勝。ダート中距離路線のトップクラスが集まる地方交流重賞のJpnI・JBCクラシックが同時期に行われていることを踏まえると、みやこSの出走馬のレベルは相当高いと評価できる。今回の登録馬も、今後の成長を見込める3歳馬からすでにGI で好結果を出している古豪まで多士済々。この中からジャパンカップダートの勝ち馬が出る可能性はかなり高いだろう。格付けはGIII でも、GI と同等の注目が必要な一戦と言えそうだ。

まずは、古馬の実績馬からチェックしていきたい。ローマンレジェンド(牡5・藤原英昭)は、昨年のこのレースの優勝馬で、暮れのGI・東京大賞典(大井・ダート2000m)を勝っている。同じ大井競馬場で行われた前走のJpnI・帝王賞(ダート2000m)で勝ち馬から2秒1差の6着と大敗を喫しており、約4か月の休養で立て直しを図られて臨むこのみやこSで復権を懸ける。10月23日の1週前追い切りでは、27日の天皇賞(秋)に出走するエイシンフラッシュと栗東CWコースで併せ馬を敢行、6ハロン82秒1の時計をマークした。アタマ差遅れたが、相手は調教駆けするGI ホースだけに、仕上がりに関しての心配はなさそうだ。59キロの斤量を克服し、みやこS連覇を目指す。

今年のフェブラリーSを制したグレープブランデー(牡5・安田隆行)は、その後に判明した骨折で休養に入り、約8か月ぶりの実戦となった前走のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡・ダート1600m)で復帰。4着に敗れたものの、骨折明けのレースを無事に乗り切ったことは大きいだろう。10月25日の1週前追い切りは、栗東坂路で4ハロン55秒4をマーク。これが前走後に初めて出した追い切り時計だが、素軽くなった動きにひと叩きされた上積みは感じられた。〔2・1・0・1〕と得意にしている京都・ダートコースでの巻き返しを期待したい。

ブライトライン(牡4・鮫島一歩)は、前々走のオープン特別・マリーンS(函館・ダート1700m)を4馬身差で圧勝。その勝ちっぷりの良さを評価され、前走のエルムSでは1番人気に支持されたものの、勝ち馬から0秒3差の3着に敗れた。レース後は、滞在していた函館競馬場から8月28日に栗東トレーニング・センターへ帰厩。巻き返しに向けた調整を行っている。10月23日の1週前追い切りは福永祐一騎手が手綱を取り、坂路で4ハロン54秒0をマーク。その数字以上に軽快な走りを見せていた。ダート重賞初制覇のチャンスは十分あるだろう。

ナイスミーチュー(牡6・橋口弘次郎)は、6歳を迎えて地力強化が目立つ一頭で、成績もかなり安定してきた。かつては苦手にしていた感もある京都・ダートコースだが、今年5月に行われた平安Sで2着に好走してみせた。今回のポイントは、ベストよりも少し短いダート1800mで好結果を残せるかどうかだろう。約4か月半の休み明けで臨んだ前走のシリウスS(2着)をひと叩きして、状態はさらに良化。10月23日の1週前追い切りは、栗東坂路で4ハロン52秒7と、この馬にしてはまずまずの時計をマークしている。前述の平安Sでは、昨年のジャパンカップダートの覇者ニホンピロアワーズに半馬身差の2着と差のない競馬を演じており、今回も好勝負は必至だろう。
そのナイスミーチューをクビ差の2着に退けてシリウスSを優勝したのがケイアイレオーネ(牡3・西浦勝一)。2歳秋のJpnII・兵庫ジュニアグランプリ(園田・ダート1400m)以来となる2度目の重賞制覇で、再びダート重賞路線のトップグループに戻ってきた。この中間はそれほど速い時計をマークしておらず、10月23日の1週前追い切りでマークしたタイムは栗東坂路で4ハロン57秒2。動きそのものは素軽かったが、今回はこれまでとはメンバーのレベルが数段アップする印象だけに、今週の追い切りでびっしりと負荷を掛けてくるか、その内容と動きに注目したい一頭だ。

インカンテーション(牡3・羽月友彦)は、前々走のレパードSで重賞制覇を達成。伸び盛りの3歳馬だけに、強力な古馬相手でも能力は通用しそうな気配がある。初めて古馬と対戦した前走のオープン特別・ラジオ日本賞(中山・ダート1800m)は2番人気と高い支持を受けたものの、6着に敗退。不良馬場に加えて、道中で窮屈な競馬になったのが響いた印象だけに、この敗戦だけで見限るのは早計だろう。レース後は短期放牧を挟んでの調整で、栗東トレーニング・センターに帰厩したのは10月2日。17日の2週前追い切り(重)と23日の1週前追い切り(稍重)は併せ馬を敢行し、追って伸びない内容が続いているのは気になるが、馬場が悪いと走れないタイプ。中6週のローテーションとなるが、まずまずの仕上がりで出走できそうだ。

グランドシチー(牡6・相沢郁)は、前走のシリウスSで好位追走から直線でもしぶとく伸びて、勝ち馬のケイアイレオーネから0秒2差の3着に好走。トップハンデの58.5キロを背負っていたことに加えて、関西への長距離輸送で大幅な馬体重の減少(-14キロ)があっただけに、見どころ十分のレース内容と言える。差し脚質ながら、大崩れの少ないタイプで、2012年3月のオープン特別・仁川S(阪神・ダート2000m、5着)から14戦連続で掲示板を確保している。今回も上位争いに加わってくるだろう。

オーブルチェフ(牡4・萩原清)は、2011年の秋にJpnIII・北海道2歳優駿(門別・ダート1800m)→JpnI・全日本2歳優駿(川崎・ダート1600m)と、重賞2連勝をマークした逸材。その後、骨折により1年4か月の長期休養を余儀なくされた。今年の4月に復帰したが、アンタレスS11着、前走のオープン特別・アハルテケS(東京・ダート1600m)15着と二桁着順の大敗が続いている。2歳時の活躍を考えれば、能力的にはこのメンバーが相手でも通用していいはず。約5か月の休養で立て直しを図られた素質馬の走りに注目したい。

JRA
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