2014年10月5日(日)
3回新潟8日11R 第48回 スプリンターズステーク(GI)


出走表⇒11R 第48回 スプリンターズステークス(GI)

秋のGI シリーズ開幕を告げる芝の短距離王決定戦・スプリンターズS。今年は中山競馬場のスタンド等整備工事に伴い、新潟競馬場の芝1200mに舞台を移して行われる。2002年に新潟競馬場で開催された第36回スプリンターズSは、好位追走から直線で最内を突いて鋭く抜け出したビリーヴが優勝している。12年ぶりの新潟開催となる今回は、今春の高松宮記念の優勝馬を筆頭に国内の一流スプリンターが集結。新潟ターフを舞台に繰り広げられる電撃のスプリントGI に大きな注目が集まる。

コパノリチャード(牡4・宮徹)は、今年3月に行われた高松宮記念の覇者。今回は、スプリントGI 春秋連覇を狙っての登場となる。高松宮記念当日は朝から昼過ぎまで降り続いた雨の影響で不良馬場になり、多くの馬たちがスピードを活かしきれない中、この馬は圧倒的な加速力を披露。最後は2着馬スノードラゴンに3馬身差をつけてゴールインした。馬場適性の差もあったが、GI でこれだけ大きな差をつける芸当は並みの馬にはできないはず。通算4度目(2013年アーリントンC、スワンS、2014年阪急杯、高松宮記念)の重賞制覇は、スプリンターとしての才能を大きくアピールした一戦でもあった。前走の京王杯スプリングC(7着)のあとは放牧に出されていたが、札幌競馬場を経由して、栗東トレーニング・センターに帰厩。このレースに照準を合わせて、順調に乗り込みを消化している。馬場状態不問のスピードとパワーで2つ目のGI タイトル奪取に挑む。


ハクサンムーン(牡5・西園正都)は、一昨年から昨年までスプリント王に君臨したロードカナロアと幾度も好勝負を演じた快速馬。一昨年の秋に京阪杯で初の重賞タイトルを獲得すると、4歳時の昨年は高松宮記念で3着に好走し、アイビスサマーダッシュとセントウルSを優勝。『サマースプリントシリーズ』のチャンピオンに輝き、充実ぶりをアピールした。悲願のGI 制覇に挑んだ昨秋のスプリンターズSは勝ち馬のロードカナロアから3/4馬身差の2着に惜敗。今年の高松宮記念はスタートで後手を踏んで後方追走とそれまでとは異なる戦法になったが、直線で目を引く伸び脚を見せて5着まで追い上げたのは収穫だったと言える。5か月半の休養を経て、この秋はセントウルSから始動。大外8枠15番から出遅れ気味のスタートながら、二の脚を利かせて2番手をキープすると、抜群の手応えで直線に向いて先頭に並びかけ、最後はリトルゲルダ(1着)の末脚に屈したものの2着を確保。前哨戦で上々の内容を残しただけに、本番のスプリンターズSが楽しみだ。


グランプリボス(牡6・矢作芳人)は、重賞5勝の強豪馬。その中には2010年朝日杯フューチュリティS、2011年NHKマイルCとGI・2勝が含まれており、残る3勝もすべてGII (2010年京王杯2歳S、2012年スワンS、2013年読売マイラーズC)で、今回の豪華メンバーに入っても実績は最上位の存在だ。前走の安田記念は17頭立ての16番人気という低評価を覆して2着に好走。直線で力強い末脚を見せて一旦は先頭に立つと、内から伸びてきたジャスタウェイ(1着)と激しい追い比べを演じ、写真判定の末にハナ差敗れたが、あらためてその能力の高さをアピールした。芝1200mのレース挑戦は今回で2度目。昨年のスプリンターズS(7着)ではスタート後に他の馬に寄られて中団からの競馬になったが、直線で馬群の外からよく追い上げて、勝ち馬のロードカナロアに0秒3差まで詰め寄った。距離適性は備えていると見ても良いはず。約4か月の休養明けでも、豊富なキャリアと地力の高さから優勝争いに加わってきそうだ。


ローブティサージュ(牝4・須貝尚介)は、今年の『サマースプリントシリーズ』対象レースで、函館スプリントS2着→キーンランドC優勝。短距離路線に転向して、鮮やかに復活を遂げている。初めて芝1200mのレースにエントリーした前々走の函館スプリントSは前半こそ追走に戸惑いを見せていたが、2度目の芝1200m参戦となった前走のキーンランドCではスタートも上手に飛び出してスムーズに追走。4コーナーで先行グループを射程圏に入れると、最後の直線で鋭い末脚を発揮して差し切った。2012年の阪神ジュベナイルフィリーズの覇者で、同年のJRA賞最優秀2歳牝馬に選出されている素質馬だ。近走を見ると、スプリンターとしての才能も非常に高い。今後は短距離界の頂点を目指せるはず。


セイコーライコウ(牡7・鈴木康弘)は、7歳を迎えた今年に4戦3勝をマーク。素晴らしい充実ぶりを示している一頭だ。1番人気に推された前走のアイビスサマーダッシュでは、余裕十分の手応えで追走して残り200m付近からスパート。最後も軽く追われた程度で後続馬の追撃を1/2馬身退ける強い内容で待望の重賞初制覇を飾っている。ベストは2戦2勝の新潟・芝1000mの直線競馬かもしれないが、今回の芝1200mでも4勝2着5回を記録しており、距離適性は高い。過去に2年以上の長期休養を経験しており、まだまだ馬体は若々しく、状態は今がピークの感すらある。今夏に重賞タイトルを獲得して勢いに乗る晩成型のスプリンターがGI 初制覇に挑む。

ストレイトガール(牝5・藤原英昭)は、断然の1番人気に支持された前走の函館スプリントSで11着と思わぬ大敗を喫したが、この時は絶好の手応えで直線に向いたものの、前の馬が壁になって鞍上の岩田康誠騎手がまったく追い出せなかった。力を出せず不完全燃焼の競馬になっただけに、参考外と判断してもいいだろう。昨夏の北海道シリーズでは、一気に4連勝をマークと大活躍したスプリンター。今年の高松宮記念とヴィクトリアマイルでは、ともに3着の実績を残しており、GI 制覇への見通しも立っている。新潟・芝コースは初参戦となるが、同じ左回りの中京・芝コースで昨年12月のオープン特別・尾張S(芝1200m)を快勝しているだけに、問題なく対応できるだろう。3度目のGI 挑戦で真価発揮が期待される。


マジンプロスパー(牡7・中尾秀正)は、5か月の休養明けで臨んだ前走のキーンランドCでクビ+アタマ差の3着に健闘。好スタートを切って抜群の手応えで2番手を追走し、直線で逃げたフォーエバーマークを交わして先頭に立つと、本来の粘り強さを披露。復帰戦で上々の成績を残している。前々走の高松宮記念は18着に大敗したが、これは不良馬場が影響してまったく力を発揮できなかったもので、参考外と言える。中京・芝コースでCBC賞を連覇(2012・2013年)した実績から、同じ左回りの新潟・芝コースに舞台が替わるのは問題ないはず。

レッドオーヴァル(牝4・安田隆行)は、昨年の桜花賞で優勝馬アユサンと激しい追い比べを演じて2着に好走した素質馬。続くオークスで17着、秋緒戦のローズSで13着と1800m以上のレースで大きく着順を下げたこともあり、その後は短距離路線に転戦。今夏は、1600万下の水無月S(阪神・芝1200m)2着→1600万下の札幌日刊スポーツ杯(札幌・芝1200m)1着→キーンランドC2着と、すっかり安定感を増してきた印象。前走のキーンランドCではメンバー中最速となる上がり3ハロン34秒2(推定)の末脚を駆使して大外を強襲。勝ち馬のローブティサージュにクビ差まで詰め寄っている。今後のスプリント路線での活躍が楽しみだ。


スノードラゴン(牡6・高木登)は、今春の高松宮記念で8番人気ながら2着に好走。直線で大外からパワフルな末脚を繰り出して追い上げると、1番人気のストレイトガールを交わしてゴールに駆け込んだ。オーシャンS(2着)で芝の重賞初連対を果たした勢いをそのまま活かした好走だったが、もともとが安定感抜群の戦績を残していた馬。約2か月半の休養明けで臨んだ前走のキーンランドCは8着に敗退したが、勝ち馬のローブティサージュとのタイム差は0秒3と着順ほど大きくは負けていない。雨が降ってタイムを要する馬場コンディションになれば、大きく浮上してくる一頭と言えるだろう。


マヤノリュウジン(牡7・庄野靖志)は、昨年のスプリンターズSで15番人気の低評価を覆して3着に健闘。高いスプリント能力を示した。しかし、同馬が本格化を遂げたのは今年の夏だ。福島競馬場に遠征して臨んだ3走前のバーデンバーデンCを大外強襲の豪快な競馬で制すると、札幌競馬場に転戦した前々走のUHB賞も直線一気の末脚で優勝。芝1200mのオープン特別を連勝し、完全に自分の形(後方一気)を確立するとともに、目下の充実ぶりを強烈に印象付けた。3連勝を目指した前走のセントウルSは5着に敗れたが、上がり3ハロンタイムはメンバー中最速の32秒9(推定)をマーク。持ち味とする鋭い末脚は披露しており、本番につながる内容を残したと言える。


ハナズゴール(牝5・加藤和宏)は、5歳の今年にオーストラリアへ遠征して国際G1・3戦を消化。クールモアクラシック(ローズヒルガーデンズ・芝1500m)は14着、ドンカスターマイル(ランドウィック・芝1600m)は6着に敗れたが、前走のオールエイジドS(ロイヤルランドウィック・芝1400m)を直線一気の強襲で優勝。大きな勲章を獲得して帰国した。これまでの勝ち鞍は、芝1600mで4勝、芝1400mで2勝。芝1200mへの出走は2012年の京阪杯(5着)1回のみで、今回は速い流れへの対応が鍵を握りそうだが、父は2006年の高松宮記念を勝っているオレハマッテルゼ。血統的な背景を見れば、対応は可能なはず。海外G1 を制覇した末脚に熱い視線が集まる。