11R 第49回 デイリー杯2歳ステークス(GII)

2014年11月15日(土) 5回京都3日

競走体系のさらなる充実およびローテーションを整備する観点から、重賞の新設や開催場・開催時期が変更された今年の2歳戦線。秋の京都開催で10月に行われてきたデイリー杯2歳Sが、今年から11月に時期を繰り下げて行われることになった。秋の京都競馬もすでに2開催目を迎えており、芝コースは4回京都のAコースから5回京都の前4日はBコースに替わっている。京都の芝コースは速い時計が出やすい状態が続いているが、開幕直後の芝のコンディションから少なからず状況が違ってきている印象で、昨年までとはレース傾向が変わってくるケースも十分考えられる。昨年までよりも差し馬が台頭する可能性が高いと言えるだろう。

前走のオープン特別・ききょうS(阪神・芝1400m)で2勝目をマークしたナヴィオン(牡2・橋口弘次郎)の最大の魅力は、末脚の切れ。8月3日に行われたメイクデビュー新潟(芝1600m)では、メンバー中最速となる上がり3ハロン32秒7(推定)の豪脚を発揮して初勝利をマークしている。デイリー杯2歳Sの開催時期変更を最も歓迎しているのはこの馬かもしれない。前走後の調整も順調そのもので、前走から手綱を取っている福永祐一騎手が騎乗して11月6日に行われた1週前追い切りでは、栗東坂路で4ハロンから51秒5-37秒7-24秒8-12秒5の好時計を楽々とマーク。併走馬をあっさりと3馬身ほど突き放している。重賞初制覇に向けて、視界は良好と言えそうだ。

注目度という点では、オルフェーヴルの全弟にあたるアッシュゴールド(牡2・池江泰寿)が文句なしでナンバー1だ。1番人気の支持を集めた7月26日のメイクデビュー中京(芝1600m)こそ6着に敗れたが、3か月の休養で成長を促して臨んだ前走の未勝利(京都・芝1600m)を優勝。馬体重は6キロ増の432キロで、休養前よりもはるかに馬体は良化していた。今回は未勝利勝ち直後の重賞挑戦とハードルは高いが、潜在能力はこの舞台でも十分に通用するはず。

京都・外回りの芝1400mで行われた前走のオープン特別・もみじSを鮮やかに差し切って2勝目を挙げたアルマワイオリ(牡2・西浦勝一)は、重賞を勝てる能力を秘めた厩舎期待のマツリダゴッホ産駒。8月23日に行われた3走前のメイクデビュー札幌(芝1500m)では、直前追い切りの動きを評価されて1番人気の支持を受けているように、調教でもしっかりと動くタイプ。11月5日に栗東坂路で行われた1週前追い切りは、4ハロンから54秒3-40秒0-26秒4-13秒5をマーク。古馬と併せ馬を敢行して同入したが、手応えはこの馬が上回っていた。前走時の好調をキープした状態で出走できそうだ。

6月7日のメイクデビュー阪神(芝1600m)を勝ち上がり、続く前走のオープン特別・中京2歳S(中京・芝1600m)も制して2連勝をマークしたケツァルテナンゴ(牡2・笹田和秀)。今回は約3か月半ぶりの実戦となるが、テンションの高さが目立った前走を考慮すれば、この休養は吉と出る可能性が高いと考えてもいいだろう。栗東トレーニング・センターに帰厩後の乗り込みも十分で、11月5日の1週前追い切りは坂路で4ハロンから54秒0-39秒4-25秒3-12秒4を計時し、そのあと9日にもCWコースで馬なりながら5ハロン69秒台のタイムをマークしている。今週の最終追い切りで出走態勢はほぼ整うはずだ。チチカステナンゴ産駒として初の重賞制覇も十分にありそう。

タガノエスプレッソ(牡2・五十嵐忠男)は、8月23日のメイクデビュー新潟(芝1400m)3着→9月21日の未勝利(阪神・芝1600m)2着→10月11日の未勝利(京都・芝1800m)1着と、月1走のペースでコンスタントに出走して徐々に着順を上げ、3戦目で初勝利をマーク。勢いに乗って重賞のここに挑戦してきた。11月5日の1週前追い切りは栗東CWコースで6ハロン80秒8の意欲的な内容を消化しているように、疲れは感じさせない。むしろ、1・2戦目での後方~中団に控える競馬から3戦目は好位追走と、実戦を経験したことでレース内容に幅が出てきた点は好材料。重賞のここでも差のない競馬に持ち込めるだろう。

10月14日のメイクデビュー京都(芝1600m)で5番手追走から直線に入り力強い末脚を繰り出して快勝したグレイスフルワード(牝2・牧田和弥)。陣営は2戦目に牝馬限定のファンタジーSではなく、牡馬が相手になるデイリー杯2歳Sを選択した。中長距離に適性を示す傾向があるハーツクライ産駒だけに、芝1400mよりも芝1600mの距離のほうが、この馬の力をより発揮しやすいと考慮されたのだろう。11月5日の1週前追い切りは栗東坂路で4ハロン54秒5をマーク。併走馬に遅れたが、これは追走してのもので、気にする必要はなさそうだ。