11R 第50回 福島記念(GIII)

2014年11月16日(日) 4回福島4日

秋の福島開催のフィナーレを飾る重賞としてすっかりファンの間にも定着した福島記念には、毎年個性豊かな馬たちが登場。芝2000mを舞台にハンデキャップ競走らしい熱戦を繰り広げている。昨年の2着馬マイネルラクリマは、今年の産経賞オールカマー(新潟・芝2200mで開催)を優勝。3着馬ラブイズブーシェは、次走の有馬記念で4着に健闘し、今年の函館記念で重賞初制覇を達成している。また、4着馬ディサイファも今年のエプソムCを制して初の重賞タイトルを獲得。このように、福島記念で上位争いを演じた馬たちはその後も活躍が目立っている現状だ。今年も晩秋の福島競馬場に飛躍を期す馬たちがスタンバイ。白熱の攻防を見逃せない。
ダイワファルコン(牡7・上原博之)は、2012年と2013年の福島記念を連覇。今年は同一重賞3連覇を狙っての登場となる。2012年のこのレースでは大混戦となった2着争い(ハナ+ハナ差)を尻目に2馬身差をつけてゴールイン。待望の重賞初制覇を飾っている。そして、昨年は福島・芝2000mのコースレコード1分57秒3を記録し、逃げ込みを図るステイブルメイトのマイネルラクリマを1/2差の2着に退けて優勝。57.5キロのハンデも克服し、あらためてコース適性の高さをアピールしたことは記憶に新しい。その後は勝ち星から遠ざかっており、前走の毎日王冠は15頭立ての10着に敗れたが、3か月の休養明けで、実績のない左回りコースに加えて、3着馬スピルバーグは次走の天皇賞(秋)を優勝と、相手も強力なメンバーがそろっていたことを考えれば、勝ち馬から0秒5差なら及第点と言えるだろう。休み明けを一度使われて状態もアップした今回は、巻き返しが期待できる。
メイショウナルト(せん6・武田博)は、今年の七夕賞の優勝馬。好スタートから先手を奪うと、軽快な逃げ脚を披露。3コーナー過ぎから後続馬との差を開き始め、最後の直線でも余力は十分。そのまま押し切って、昨年の小倉記念に次ぐ2度目の重賞制覇を達成した。そして、続く前々走の小倉記念では57.5キロのトップハンデを背負いながらも先手を奪い、勝ち馬サトノノブレスから0秒6差の3着を確保。好調時の姿を取り戻した印象だ。今回は前走の新潟記念(10着)以来約2か月半ぶりの実戦になるが、調教では夏場と遜色のないフットワークを披露。仕上がりの良さをアピールしている。直線の長い新潟・芝の外回りコースから重賞勝ちの実績がある福島・芝コースに舞台が替わるのは大きなプラス材料となるはず。

ウインマーレライ(牡3・高木登)は、福島・芝コースで2戦2勝をマークしている相性の良さが魅力だ。3歳の今年は、京成杯(12着)→スプリングS(8着)→青葉賞(8着)と重賞で強敵を相手に経験を積み、着々と地力を強化。折り合い面にも進境を見せて前々走のラジオNIKKEI賞を優勝し、重賞初制覇を達成した。約3か月の休養を挟んで臨んだ前走の毎日王冠は、初の古馬相手で11着に敗退したが、道中は2番手追走と積極的な競馬を見せて、直線で残り200m地点までしぶとく粘り、勝ち馬のエアソミュールから0秒6差と着順ほど大きくは負けていない。今後に向けて貴重な経験となったはずだ。休み明けを一度使われた今回は、体調面での上積みが見込めるうえに、福島・芝コースに舞台が替わるのも大きなプラス材料となるはず。うまく一瞬の脚を活かすレースができれば、2度目の重賞Vも難しくないはずだ。

アロマカフェ(牡7・小島太)は、今年も順調にレースを使われて、オープン特別のメイS(東京・芝1800m)と福島テレビオープン(福島・芝1800m)でいずれも2着に好走したあと、前々走の新潟記念では最後の直線で他の馬に寄られる不利を受けながらも0秒2差の5着まで追い上げている。条件さえ整えば、再び重賞でも上位争いが可能なことを証明した。2010年7月のラジオNIKKEI賞制覇から4年以上の歳月が流れたが、まだまだ馬体の張りは良く、年齢的な衰えはまったく見られない。〔1・1・0・1〕と好相性の福島・芝コースで久々の重賞Vに挑む。

アンコイルド(牡5・矢作芳人)は、2012年11月から2013年1月にかけて4連勝をマーク。一気に素質開花した逸材だ。そして、昨年は函館記念で勝ち馬のトウケイヘイローから0秒3差の2着に好走すると、続く札幌記念(函館・芝2000mで開催)でも3着に健闘。さらには、京都大賞典で勝ち馬のヒットザターゲットとクビ差2着の接戦を演じ、トーセンラー(3着)、アドマイヤラクティ(4着)、ゴールドシップ(5着)といった強豪に先着を果たしている。飛躍が期待された5歳の今年は初戦の京都記念3着以外は目立った成績を挙げていないが、前走のエルムS(13着)は初めてのダート参戦が響いた印象。レース後は、放牧で立て直しを図られた。5日の1週前追い切りは栗東CWコースで古馬オープンクラスのサトノプリンシパルと併せて、6ハロン81秒台、5ハロン65秒台をマーク。絶好の動きを見せており、体調面の良化が目を引く。芝の適距離に戻る今回は、一変したレースも可能だろう。

ミトラ(せん6・萩原清)は、今年6月のオープン特別・パラダイスS(東京・芝1400m)で約1年4か月ぶりにカムバック。復帰初戦をいきなり勝利で飾り、能力の高さを示した。そのあとも順調にレースを使われて、関屋記念こそ勝ち馬のクラレントから1秒も離された10着に大敗したが、続く前々走の京成杯オータムH(新潟・芝1600mで開催)では、重賞連勝を果たして『サマーマイルシリーズ』のチャンピオンに輝いたクラレントから0秒1差の3着に好走、重賞でも通用する見通しを立てた。キャリアを重ねて、パワーアップを果たしている印象だ。今回は初めて経験する2000mの距離克服がポイントになりそうだが、父シンボリクリスエス、母の父サンデーサイレンスという血統背景から、対応は十分に可能だろう。ここで新境地を開拓すれば、今後の選択肢も増えるだけに、大事な一戦となった。

ナカヤマナイト(牡6・二ノ宮敬宇)は、重賞3勝(2011年共同通信杯、2012年産経賞オールカマー、2013年中山記念)を記録している強豪。個性派がそろった今回のメンバーに入っても実績では上位にランクされる存在である。最近は持ち味である力強い末脚が影を潜めているが、前走の産経賞オールカマーは18頭立てで4コーナー5番手から0秒4差の8着に踏みとどまり、復調へのきっかけをつかんだ印象だ。この中間は福島記念に照準を合わせて丹念な乗り込みを消化。GI 経験も豊富な実力馬が、晩秋の福島競馬場で完全復活を期す。 ムーンリットレイク(牡6・加藤征弘)は、前走の札幌記念(12着)以来約2か月半ぶりのレースになるが、福島記念を目標に定めて順調に乗り込まれており、出走態勢は整ってきた。5日に美浦南Wコースで行われた1週前追い切りでは、同じ加藤征弘厩舎のアーデント(古馬オープン)と併せて意欲的な調教を消化。これでレース週にもう1本追い切れば、馬体も締まってくるはずだ。前々走の福島テレビオープン(福島・芝1800m)では2番手追走と積極的な競馬で4コーナー手前から先頭に立ち、最後はアロマカフェ(2着)の追撃をクビ差封じて優勝。重賞制覇に明るい見通しを立てており、福島・芝コースも2戦して1勝2着1回と相性は上々だ。前走の敗戦だけで見限るのは早計だろう。

リルダヴァル(牡7・池江泰寿)は重賞の勝ち鞍こそないが、2009年野路菊S(阪神・芝1800m)、2012年カシオペアS、2013年都大路S(ともに京都・芝1800m)とオープン特別を3勝。また、3歳の春にはGI のNHKマイルCで3着の記録もあり、このメンバーに入っても、実績では見劣りしない存在だ。週末に雨が降って得意の時計が掛かる馬場コンディションになれば、より一層チャンスは広がるはずだ。

マジェスティハーツ(牡4・松永昌博)は、昨秋の神戸新聞杯で勝ち馬のエピファネイアから0秒4差の2着に好走。そして、4歳の今年も新潟大賞典2着、中京記念3着の実績を残し、鋭い追い込みに定評のある一頭だ。速い流れで末脚の活きる展開になれば、有力馬たちをまとめて負かせるだけの末脚の破壊力をこの馬は持っている。

フィロパトール(牝5・武藤善則)は、1600万下クラスの身ながら今春の福島開催で福島牝馬Sに格上挑戦してケイアイエレガント(1着)、キャトルフィーユ(2着、2走後のクイーンSを優勝)に次ぐ3着に健闘。重賞でも互角の戦いが可能なことを実証した。夏の福島開催では1600万下の天の川S(芝1800m)を優勝。2013年ラジオNIKKEI賞の優勝馬ケイアイチョウサンを1馬身1/4差の2着に退けての勝利で、価値ある一戦となった。今回は52キロの軽ハンデで出走できるだけに、牡馬が相手の重賞でも侮れない存在だ。