ここをステップに大舞台を目指せ「第49回 日刊スポーツ賞 シンザン記念」
3連単1頭軸
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かつては、その年のクラシックの主役となるような馬が年明けの重賞に出走することはほとんどなく、シンザン記念の出走馬から、クラシックをはじめとする3歳GI を争う候補が出るケースも少なかった。だが、それもすでに昔の話。昨年の勝ち馬は、のちにNHKマイルCを制すミッキーアイル、2012年の勝ち馬は、その後牝馬三冠に輝き、昨年の有馬記念でGI 7勝目を挙げて有終の美を飾った名牝ジェンティルドンナ。そして、さらに目を引かれる出走メンバーだったのが2011年だ。勝ち馬のレッドデイヴィスはその後に重賞を2勝しながらもGI 未勝利だが、2着馬は、のちにクラシック三冠を制し、凱旋門賞で2年連続(2012年、2013年)2着に入るなど、競馬史に名を刻むことになるオルフェーヴルで、3着馬は、その後桜花賞を優勝するマルセリーナだった。いまやシンザン記念は、ここでの好走をきっかけに大きく飛躍を遂げる出世レースと言っても過言ではない。今年はここからどんな馬が大舞台へと羽ばたいていくのか、今後を占ううえでも、注目すべき大事な一戦だ。

Kitten's Joy産駒のダッシングブレイズ(牡3・吉村圭司)は、ここまで2戦1勝2着1回のキャリアで迎える重賞初参戦。500万下クラスの身での格上挑戦となるが、シンザン記念はそれまでのキャリアがあまり問われない傾向があるレース。資質は今回のメンバーの中でも上位のはずで、当初からここを目標にしていたというローテーションも魅力だ。12月31日に栗東坂路で行われた1週前追い切りでは4ハロン54秒3-ラスト1ハロン12秒9を馬なりでマークしており、状態はさらに良くなっている印象がある。

ハーツクライ産駒のナヴィオン(牡3・橋口弘次郎)は、今回と同じ京都・外回りの芝1600mの舞台で行われた前々走のデイリー杯2歳S(3着)で1番人気の支持を受けた馬。今回も上位人気に支持される可能性が高い一頭だ。前走の朝日杯フューチュリティSでは、稍重発表で時計が掛かる状態だった馬場コンディションが合わず11着と好結果を残せなかったが、速い時計が出やすい良馬場での決め手勝負なら巻き返してくるはず。ここで収得賞金を加算し、春のGI 出走を確実なものとしたいところだ。

スクリーンヒーロー産駒のグァンチャーレ(牡3・北出成人)は、前走の東京スポーツ杯2歳Sで、最後の直線で前が壁になる場面があり、勝ち馬のサトノクラウンから0秒3差の7着に敗退。スムーズな競馬なら上位争いに加わっていたはずで、今回のメンバーでも力量上位と考えていい馬だ。12月31日に栗東坂路で行われた1週前追い切りでは4ハロン54秒8-ラスト1ハロン12秒5をマークしており、好調をキープ。前走から中6週という、ゆったりとしたローテーションでの挑戦にも好感が持てる。

マンハッタンカフェ産駒のサトノフラム(牡3・安田隆行)は、1番人気に支持された前々走のいちょうSで10着に敗れたのに続き、自己条件に戻った前走の500万下・千両賞(阪神・芝1600m)でも3番人気の支持を受けながら9着に敗退。2戦続けて人気を大きく下回る結果で、今回は評価が難しくなりそうだ。しかし、潜在能力が高いことは、調教で抜群の動きを見せることからもはっきりと伝わってくる。レースでも問題なく自身の能力を発揮することができれば、今回のシンザン記念で巻き返し、重賞タイトル奪取を成し遂げてもおかしくない。

クロフネ産駒のレンイングランド(牡3・矢作芳人)は、前々走の500万下・寒椿賞(東京・ダート1400m)と前走のオープン特別・クリスマスローズS(中山・芝1200m)を連勝して通算3勝をマーク。すでに、春のGI 出走に向けて十分と思えるだけの収得賞金を獲得している。今回、芝では初経験となる1600mの距離を克服できるようなら、今後の選択肢もかなり増えてくる。

クイーンズターフ(牝3・須貝尚介)は、地方の船橋競馬に所属して地方交流重賞のGI・JpnI 計6勝を挙げたフリオーソを伯父に持つ馬。そんな血統背景もあり、前走のメイクデビュー阪神はダート1400mを使われて優勝しているが、父はディープインパクト。その産駒は、芝で能力を発揮するタイプが多く、京都・芝1600mでは抜群の好成績を記録している。本馬は、今回キャリア2戦目での重賞初挑戦となるが、ここにも陣営の期待の高さが表れている。

ケイムホーム産駒のメイショウマサカゼ(牡3・本田優)は、前走の朝日杯フューチュリティSで、勝ち馬のダノンプラチナから3秒5差の17着と大敗を喫した。芝1600mの距離が初経験だったことに加えて、阪神競馬場の芝・外回りコースが本馬には合わなかったようだ。阪神・外回りの芝1600mに比べて、今回の舞台となる京都・外回りの芝1600mは、最後の直線が平坦で短い。このコースならば、2度目となる芝1600mの距離も克服して、上位進出が見込めるだろう。